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イベント情報

丸木位里・丸木俊・丸木スマ展

2022年07月31日〜2022年10月10日

美術館|企画展

丸木スマ 《せみが鳴く》1952年 


《原爆の図》で知られる水墨画家・丸木位里とその妻である油彩画家・丸木俊。そして位里の母である丸木スマは70歳を過ぎて初めて絵筆をとったおばあちゃん画家です。
 丸木位里・丸木俊夫妻の共同制作《原爆の図》は二人にとって重要なテーマであり生涯にわたり何度も描かれてきました。また、夫妻は各地を旅して、人々の暮らしや風景を主題にした絵画や、その土地に伝わる民話の絵本も数多く描いています。
 スマは位里・俊に励まされ次々と身近な生きものや里山の風景を題材にした絵を描きました。独自の視線でとらえ、表現されたその作品は温かく、観る者をスマの世界へと引き込む力を持っています。
 本展では、三人の作品を3章にわけてご紹介し、位里、俊、スマの世界観とそのメッセージを皆さまにお届けします。


会 期:2022年7月31日(日)~10月10日(月・祝)
     (休館日:8/8(月)、8/22(月)、9/12(月)、9/26(月)
         開館時間:9:00~18:00(最終入場17:30)
会 場:東根市公益文化施設まなびあテラス  特別展示室・市民ギャラリー
入場料:一般800円(700円)、高校生以下400円(300円)
※( )内は前売料金および10名以上の団体料金
※各種障害者手帳をご提示の方とその同伴者1名および未就学児無料

●前売チケット取扱所=まなびあテラス、チケットぴあ(Pコード686107)ローソンチケット(Lコード21573)

*前売チケット取扱期間=2022年6月30日(木)~7月30日(土)

主 催:まなびあテラス 共 催:山形放送、NHKエンタープライズ中部 協 力:原爆の図丸木美術館


shouin_0612_RGB.jpg                                                                                                          丸木位里 《松韻》1965年

hatobue_0612 _RGB.jpg                                                                                                          丸木俊 《鳩笛》1956年


第1章 原爆を描く

位里と俊にとって生涯の重要なテーマとなった《原爆の図》。原爆投下後の広島に駆けつけた二人はその惨状を見聞きした体験をもとに、1950年にはじめて共同制作《原爆の図》として発表し、その後も30年以上描き続けました。俊の描いた《原爆の図 祖母子》はスマをモデルにして描いています。また、スマ自身も《ピカのとき》と題した作品を描いています。

丸木位里・丸木俊 《原爆の図第12部 とうろう流し》1968年 

第2章 土地に根ざした暮らし

丸木位里と丸木俊は国内外の各地を旅して、人びとの暮らしや風景を数多く描いています。山形県をはじめ、東北地方にはたびたび足を運び、土地に伝わる民話『赤神と黒神』(作:松谷みよ子/絵:丸木位里/出版社:ポプラ社)、『きつねのおきてがみ』(作:菊池敬一/絵:丸木俊/出版社:小峰書店)などの絵本も描いています。

(左)丸木位里 《蔵王》1979年 (右)丸木位里 絵本原画『赤神と黒神』(表紙)1969年

第3章 丸木スマの絵画

丸木位里の母親の丸木スマは、70歳を過ぎて絵を描きはじめました。生命のよろこびにあふれる世界を伸び伸びとした自由な筆づかいで描いています。スマは「ピカは人が落とさにゃ落ちてこん」という、とても本質的な言葉を残しています。《原爆の図》とスマの絵画は、一見正反対のようですが、同じ大切なものを別の角度から照らしています。

kanzashi_0602_RGB.jpg                                                                                                            丸木スマ 《簪》1955年                       

(左)丸木スマ 《なす・うり・みかん・トマト》制作年不詳 (右)丸木スマ 《ひまわり》制作年不詳


主婦の友社撮影2.JPG写真:丸木俊(左奥)、丸木スマ(手前)、丸木位里(右奥)

丸木 位里 (まるき・いり 1901–1995)
丸木位里は、1901年6月20日に広島の太田川の上流の農家に生まれた。戦前には前衛的な美術団体である歴程美術協会や美術文化協会に加わり、抽象やシュルレアリスム(超現実主義)を取り入れた独自の水墨画を発表して高い評価を受けた。1941年に油彩画家の赤松俊子と結婚。1945年に広島に原爆が落とされた時には、数日後にかけつけ、その様子を目撃した。やがて夫婦共同制作で《原爆の図》の制作に取り組み、30年以上の歳月をかけて15部の連作を完成。その一方で風景を中心としたスケールの大きな水墨画を数多く残している。1995年10月17日永眠、享年94歳。

丸木 俊 (まるき・とし 1912–2000)
丸木俊(赤松俊子)は、1912年2月11日に北海道秩父別の善性寺に生まれた。女子美術専門学校(現・女子美術大学)で油絵を学び、その後、モスクワ、ミクロネシアに滞在。 油絵やスケッチを多数描き、二科展に入選した。1941年に水墨画家の丸木位里と結婚。戦後は《原爆の図》をはじめ《南京大虐殺の図》、《アウシュビッツの図》、《水俣の図》、《沖縄戦の図》など 社会的主題の夫婦共同制作を発表している。また、すぐれた絵本作家としても知られ、『ひろしまのピカ』、『つつじのむすめ』などの絵本は今も多くの人に読み継がれている。2000年1月13日永眠、享年87歳。

丸木スマ(まるき・すま 1875-1956)
丸木スマは、1875(明治8)年に広島県安佐郡伴村(現在の広島県安佐南区)の農家に生まれた。20歳で飯室村(現在の広島市安佐北区)の丸木金助と結婚し、家業の船宿と農作業をきりもりしながら三男一女を育てる。1931(昭和6)年に傾いた家業に見切りをつけて広島市に移り住み、1945(昭和20)年には原爆を体験、それが原因で夫を亡くす。70歳を超えて長男夫妻(位里・俊)のすすめで絵筆をとる。1956(昭和31)年に81歳で亡くなるまでのおおよそ9年の間に700点以上もの厖大な作品を残した。


【原爆の図丸木美術館について】
1945年8月6日、広島に人類最初の核兵器、原爆が投下された。知らせを聞いた広島出身の丸木位里と妻の俊は、数日後に現地に入り、そこで目のあたりにした惨状の記憶や多くの被爆体験者の証言をもとに夫婦共同制作で《原爆の図》を描き、国内各地や世界20カ国以上で巡回展を行った。その後《原爆の図》を一つの場所で見られるようにと1967年、埼玉県東松山市下唐子(しもがらこ)の都幾川(ときがわ)のほとりに美術館を開館。丸木夫妻は30年以上の歳月をかけて《原爆の図》全15部を完成させた(第15部《長崎》は長崎原爆資料館が所蔵)。新館ホールには、《南京大虐殺の図》、《アウシュビッツの図》、《水俣の図》などの晩年の大作を展示し、傷ついた人々の視点から戦争や公害を深く見つめた丸木夫妻の想いを伝えている。また夫妻の作品の他、丸木位里の母、丸木スマ、妹の大道あやの色彩豊かな絵画も収蔵・展示されている。


《関連イベント》
※下記の各イベント参加には、展覧会チケットまたは観覧済半券の提示が必要です
(お持ちでない方は当日会場にてご購入ください)
※各イベントのお申込みは、電話(0237-53-0229 美術館)または、まなびあテラス総合案内カウンターまで 

●朗読会
 広島の原爆記念日に、丸木俊 作の絵本『ひろしまのピカ』の朗読会を開催します。
 (記録のえほん『ひろしまのピカ』 丸木俊 文・絵 / 丸木位里 協力 / 小峰書店)
 日時:8月6日(土) 14:00~15:30 場所:市民ギャラリーD
 定員:15名 対象:どなたでも(中学生以下保護者同伴)/入場無料
 *要申込(7月1日より受付開始)

●講演会「いのちをめぐる画家たちのまなざし ―丸木位里、丸木俊、丸木スマの世界」
 本展の監修者である岡村幸宣氏より作家、作品についてお話しを伺います。
 講師:岡村幸宣氏(原爆の図丸木美術館学芸員・専務理事)
 日時:9月4日(日)14:00~15:30 場所:講座室 
 定員:20名 対象:どなたでも/入場無料 
 *要申込(8月1日より受付開始)

●ワークショップ「身近なものを描いてみよう!」
 丸木スマの作品を鑑賞し、花や野菜などを自由に描いて、スマが試した技法(にじみやぼかしなど)
 を体験してみましょう。
 講師:番場三雄氏(日本画家・日本美術院 同人)
 場所:講座室 
 ◇親子の部…日時:8月11日(木・祝)14:00~16:00 
  対象:5歳~小学生のお子様と保護者1名 
  定員:6組(一組2名まで)参加費:1組600円
 ◇一般の部…日時:9月23日(金・祝)14:00~16:00
  対象:中学生以上 定員:12名 参加費:一人300円
  ※「身近なもの」はいくつか用意しておきますが、描いてみたいものがある方はお持ちください。
   (生き物はご遠慮ください。)
  *要申込(7月15日から受付開始)


*新型コロナウイルスの影響で中止または変更となる可能性があります。最新情報をホームページでご確認の上ご来場ください。
*感染症拡大防止対策のため、すべての方に個人情報のご記入をお願いしております。また、混雑時は会場内の人数制限を行っております。当館の感染症対策へのご理解とご協力をお願いいたします。